【カムバック対談】エンジニア3名が語る、NFLabs.に戻った理由と、異なる環境で得た知見
廣田 祐一(ひろた ゆういち):写真左 |
野中 脩平(のなか しゅうへい):写真右 |
黒須 創(くろす そう):写真中央 |
一度はNFLabs.を離れ、別の組織で経験を積んだ3人のエンジニアたち。3人は今、NFLabs.に戻り、異なる環境で得た知見を還元しながら最前線で活躍しています。 今回は、異動経験を経たからこそ見えたNFLabs.の価値、そして彼らだからこそ担える「次世代のセキュリティ人材育成」への想いを語っていただきました。
ただの「異動」じゃなかった。専門家としての殻を破るために求めた「現場のリアル」
―まずは、皆さんが一度NFLabs.を離れ、異なる環境へ出ることになった経緯や、そこで得た経験について教えてください。
廣田:私はもともと、NTTコミュニケーションズでネットワークの保守運用や、公共・自動車系案件のSE/PMを担当していました。提案から構築、運用まで一通り経験できたのですが、マネジメント業務が中心で、自分で手を動かすスキルが不足していることに課題を感じていたのです。
そこで、「専門技術を身につけ、自らの手でプロジェクトをコントロールできるようになりたい」と30代半ばで一念発起し、ジョブチャレンジ制度を使ってNFLabs.に来ました。
研修で一通りのスキルを身につけた後、一度NFLabs.を離れ、セキュリティエンジニアとして大規模なセキュリティ案件の開発現場へ。そこで待っていたのは、周囲の若手エンジニアたちの圧倒的な吸収力とスピードでした。
彼らは本当に技術が好きで、放っておいてもどんどん新しい知識を吸収していく。正直、「技術だけで彼らと真っ向勝負するのは難しい」と痛感しました。
そんな中で求められたのが、マネジメントの役割です。アジャイル開発やDevOpsの実践現場で、自分自身が最先端の技術を振り回すのではなく、「メンバーの技術をどう成果に変えるか」「どうすればメンバーが力を発揮できる環境を作れるか」という、サーバントリーダーシップに徹することにしました。技術一本で行くことに限界を感じたからこそ、組織として成果を出すための立ち回りを学べたのが一番の収穫でした。
野中:私は元々ネットワークインフラや運用の畑にいたのですが、「上流工程を知らなければ、本当の意味で最適な設計はできない」と強く感じていました。そこでNTT-ATの開発部門へ出向し、設計や開発の現場を経験することにしたのです。
実際に開発の現場に入ってみると、リソースやスケジュールの制約と、セキュリティのバランスをどう保つかという現場の現実に直面しました。我々セキュリティ側の人間は「こうあるべき」という理想を持ちがちですが、現場には現場の事情がある。運用や開発の苦労を肌で感じることができたのは、今の自分にとって非常に大きな財産になっています。
黒須:私も野中さんと似ていて、開発者目線でのセキュリティの現実を知りたいという思いがありました。人材交流の一環でNTTコムウェアへ転籍し、PSIRTとして活動しました。
そこで見えたのは、やはりセキュリティ部門の掲げる理想と開発現場における現実のギャップでした。セキュリティ品質を上げたいけれど、納期も守らなければならない。そんなジレンマの中で、いかに開発プロセスに無理なくセキュリティを組み込むか。その重要性を身をもって痛感した3年半でした。
「戻ってこい」と言われた時、どう思った? 私たちがNFLabs.への再合流を決めた瞬間

―異なる環境での経験を経て、NFLabs.へ戻ることになったきっかけは何だったのでしょうか?
廣田:案件側でのマネジメントが一区切りついたタイミングで、かつての上司から「戻ってきてほしい」と声をかけてもらいました。
正直、向こうでの仕事も充実していましたが、戻ることを決めたのは「ビジネスや経営に近い領域をやってほしい」という期待を感じたからです。技術者とマネージャーの経験を、会社の成長やビジネスに直結させるフェーズに進める。そこに新たなやりがいを感じました。
野中:私も上司から声をかけていただいたのが直接のきっかけですが(笑)、自分の中で「戻る意義」を確信できたことが大きかったです。
異なる環境に出たことで、現場のエンジニアたちがセキュリティに対して抱いている「やらされている感」や「難しさ」を痛いほど理解できました。今の自分なら、教科書通りの知識だけでなく、現場の痛みがわかる人間として、より実践的で「使える」セキュリティ研修が作れるはずだ。そう思えたことが、再合流の背中を押しました。
黒須:実は私、最初は「戻りたくない」って断っていました。出向先ではPSIRTとして社内向けのセキュリティ教育にも携わっており、その業務が面白くなってきていましたし。
でも、よく考えてみると、その教育の対象はあくまで社内です。その点、NFLabs.に戻れば、NTTグループ全体、ひいては社会全体という広いフィールドに対して、自分の経験を還元できます。PSIRTとしての実戦経験を経た今なら、以前は躊躇していた講師業にも自信を持って挑めるはずだと考え直し、戻ることを決めました。
異なる環境を知るからこそ見える価値。彼らが担う、現場とセキュリティの橋渡し
―現在、皆さんはNFLabs.でどのような業務を担当されていますか? また、異なる環境での経験はどう活きているのでしょうか。
廣田:私は現在、セキュリティ診断・ペネトレーションテストチームと教育コンサルチームを統括し、セキュリティソリューションを提供する立場で、セキュリティ技術をお客様のビジネス価値に変換する役割を担っています。
ここで活きているのが、やはり開発現場でのPM経験です。技術者はどうしても技術的な正解にこだわりがちですが、ビジネスサイドには予算やスケジュールの制約がある。その間に入って、「技術的にはこうですが、ビジネス的にはこのラインで着地させましょう」といった翻訳ができるようになりました。
もちろん、技術的にゆずれないこだわりを通すのも私の仕事です。技術とビジネスの「翻訳者」として、プロジェクトを円滑に進めるのが私の役割だと思っています。
野中:私は教育ソリューション担当として、主に「ロール別研修」の開発に携わっています。これは、これまで弊社が提供してきた包括的・網羅的なセキュリティ研修とは異なり、セキュリティ専門職における開発者や管理者など、役割に応じた実践的なスキルを学ぶための研修です。
開発者がなぜセキュリティを敬遠するのか、その気持ちがわかるからこそ、頭ごなしにルールを押し付けるようなことはしません。「現場のフローにどう組み込めば楽か」「ここだけ押さえればリスクが激減する」といった、開発者の痒い所に手が届くコンテンツ作りを心がけています。
黒須:私も同じく教育ソリューション担当として、研修講師やセキュリティコンテスト運営を行っています。
私の強みは、開発者が抱きがちな「セキュリティ部門への不満」を肌感覚で理解しているところです。開発現場の事情を汲み取り、理想と現実の折り合いをつけたアドバイスができる。開発者の味方になれるセキュリティ講師として、研修生の方々にも納得感を持ってもらえていると感じます。
「若手×ボトムアップ」の熱量。次世代のエンジニアを孤立させないために
―最後に、改めて感じるNFLabs.の魅力と、皆さんの今後の目標を教えてください。
廣田:異なる環境を見てきたからこそ感じますが、NFLabs.の「即決・即実行」のスピード感はすごいですね。若手が多く、ボトムアップで物事が決まっていく。技術好きが自律的に動くこの風土は、プロフェッショナルとして働くには最高の環境だと再認識しています。
今後の目標としては、若手が実戦経験を積める「場」を作ることです。特にペネトレーションテストなどの業務は難易度が高く、いきなり現場に出るのは難しい。だからこそ、会社を超えた連携体制を構築し、若手が安心して高難易度の案件に挑戦できるエコシステムを整えたいと考えています。
野中:私も同感で、やはり「現場」と「セキュリティ」の距離を縮めることが目標です。現場を知らないセキュリティエンジニアや若手社員に、座学だけでは学べない勘所を伝えることで「現場のリアル」を教えていく。双方の架け橋となることで、業界全体のレベルアップに貢献したいですね。
黒須:そうですね。私も人材育成を通じて、開発者とセキュリティの相互理解を深めていきたいです. 開発者がセキュリティを恐れず、むしろ武器にできるような教育を提供していくこと。それが、一度異なる環境を経験し、開発者の苦悩を知った私たちの使命だと思っています。