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インタビュー

若手セキュリティ講師の「1週間」。講義・準備・自己研鑽からなる業務の実態

INTRODUCTION

斎藤 文弥(さいとう ふみや) ソリューション事業部 教育ソリューション担当。大学時代は工学部の情報系で暗号理論などの学問的なセキュリティを専攻。2023年にNTTコミュニケーションズ株式会社(現NTTドコモビジネス株式会社)に入社し、「BootUP/ATT研修」に参加。2024年にNFLabs.へ出向し、現在は主にログ分析系の研修講師を担当している。

株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズ(以下NFLabs.)で、次世代のサイバーセキュリティ人材を育成する講師とは、日々どのような業務を行っているのでしょうか。

この記事では、ログ分析系の講師を担う斎藤文弥さんへのインタビューを通じて、NFLabs.が提供する実践的なセキュリティ研修の全体像と講師の1週間を紹介。

教壇に立つ日以外は、どのように過ごしているのか。セキュリティ教育を支える裏側の準備とは。そして、人に教えることが技術者自身のスキルアップにどうつながっていくのか。セキュリティ講師の実務とそこから広がるキャリアの可能性をご紹介します。

1科目につき1〜2日以上。実践型エンジニアを育成するNFLabs.の研修体制

―はじめに、経歴と現在の業務内容を簡単に教えてください。

2023年にNTTコミュニケーションズ株式会社(現NTTドコモビジネス株式会社)に入社し、入社後の1年間はNFLabs.が提供する「BootUP/ATT研修」に参加しました。もともと大学では工学部の情報系で暗号理論などの学問的なセキュリティを専攻していたのですが、研修を受けてみると「セキュリティにはこういう側面もあるんだ」という発見の連続で、ほぼ一から学び直すような感覚でした。2024年にNFLabs.へ出向し、現在はソリューション事業部 教育ソリューション担当として、主にログ分析系の科目を担当しています。

―NFLabs.ではどのような研修を提供しているのでしょうか。

大きく2つの研修から構成されています。ITや開発の基礎からセキュリティの専門技術までを体系的に学ぶ「BootUP研修」と、ペネトレーションテスト等の高度な技術を習得する「高度技術研修(ATT)」です。座学だけでなく、実環境に近いシステムを使ったハンズオン演習を取り入れており、「実践的なスキル」を体得することを目的としています。研修生はこれらの研修に約1年間かけて参加します。

研修はログ分析やマルウェア解析など、専門分野ごとに細かく科目が分かれており、1つの科目につき「1日、あるいは2日以上」の時間をかけて集中的に学ぶ構成。科目ごとに専門の講師が担当として割り振られています。

私自身も研修修了後にそのままNFLabs.へ出向して講師へとステップアップしており、現在は主に「ログ分析系」の科目を担当しています。

1日の講義に丸4日間の入念な準備を。セキュリティ講師のリアルな「1週間」

―講師としての1週間のスケジュールを教えてください。

毎週必ず講義があるわけではなく、担当科目の実施タイミングに合わせて準備を進めていきます。

たとえば金曜日に講義がある場合の話をしましょう。準備は1週間前から開始します。

月・火曜日は資料や演習資材の最終確認です。内容に不備がないか、誤字脱字はないか、最新の改善内容が正しく反映されているかを細かくチェックします。水・木曜日は予行演習です。1日を通した説明の流れを確認するだけでなく、ハンズオン演習で実際にコマンドを打ちながら「ゆっくり説明しつつ滞りなく実演できるか」というリハーサルを徹底します。そして金曜日が講義当日。丸1日話し続けるため、業務は完全に講義一色になります。

―準備にそれほどの時間をかける理由は何ですか?

研修生のレベルと時勢によって、つまずくポイントが毎年変わるからです。経験者と初心者では疑問の質も異なりますし、AIなどの新技術が登場するたびに関連する質問が飛んでくることもあります。過去のつまずき傾向や疑問点はドキュメントにまとめて講師間で共有しており、トラブルを未然に防ぐための微調整を毎回欠かさず行っています。経験を積んだ今も、準備の手を抜かないのはそのためです。

講師を始めた当初は、頭が真っ白になっても言葉が出るように「カンペ」を作ったり、先輩の過去の講義録画を何度も見返して何をどう話すべきか研究したりしていました。今は3年目に入ってある程度の流れはつかめてきましたが、準備の重要性は変わっていません。

研修生のスキル差には「2名体制」で対応。教える難しさと、リモート環境を活かした自己研鑽

―講師業務でとくに大変だと感じる場面はどんな時ですか?

「わかりやすく、かつ丁寧に」のバランスを保つことが一番難しいですね。コンテンツ量が多いので、丁寧に話しすぎるとスケジュールが押してしまいます。また、研修生のスキルセットがバラバラな中で、全員を置いていかずに進めることも常に頭を悩ませるポイントです。

対策として、講義は基本的に2名体制、メイン講師とサブ講師で行っています。メイン講師が進行するかたわら、サブ講師がつまずいている研修生への個別対応や、進みの早い研修生への発展課題の提供を担います。「どういった状況の時に発展課題を出すか」といった運用面を事前にサブ講師とすり合わせておくことで、どんなスキルレベルの研修生にも対応できる体制を整えています。

―やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

研修を修了して現場に出た研修生が、セキュリティカンファレンス等で発表している姿を見かけると、率直に「活躍しているな」とうれしくなります。また、当日の日報に「わかりやすかった」という感想があった時も、準備の苦労が報われる気持ちになります。科目によっては難しい内容もあるので一喜一憂しすぎないようにはしていますが、やはり励みになりますね。

―講師のワークスタイルについても教えてください。

当社はリモートワークがメインです。通勤時間がない分、定時の17時30分を過ぎたらそのままスムーズに自己研鑽の時間へ移れるのが大きなメリットです。残業は月に20時間前後で、多い月でもそれくらい。リモートのおかげで通勤往復分の時間と体力が浮くので、精神的・肉体的な辛さはほとんどありません。現在はログ分析に関連する資格の取得に向けて勉強中で、定時後の時間を有効に使っています。

「教えること」が自身の技術力を底上げする。一次情報を探求する姿勢と実務への挑戦

―講師業務を通じて、ご自身の技術力も上がっていますか?

非常に上がっています。研修生からは自分の想定外の角度から質問が飛んでくることがあって、それを調べて回答する過程で自分自身の知識がどんどん深まっていきます。人に教える以上、曖昧な理解では通用しないため、公式ドキュメントなど一次情報を徹底的に調べる癖がつきました。「教える責任があるからこそ知識の基盤が強固になる」というサイクルは、講師業務ならではのメリットだと感じています。

―NFLabs.の環境面で気に入っているところはありますか?

周囲のモチベーションの高さですね。セキュリティ系の難関資格の合格者が社内にたくさんいて、フラットにアドバイスを聞きに行ける土壌があります。受動的でいても能動的でいても、自然とスキルアップできる環境です。資格取得の支援制度も整っており、やる気さえあれば成長できる場所だと思います。

―最後に、今後のキャリアビジョンを教えてください。

次はセキュリティの実務に本格的に取り組んでいきたいと思っています。講師として培ったログ分析の知識を武器に、実務者としての経験値を積んでいきたいです。NFLabs.ではこれまでも講師経験から実務へシフトした事例が多く、先輩方の姿を見ていても希望が叶いやすい環境だと感じています。「教えること」で磨いた技術を、今度は現場で生かしていきたいですね。